この季節は何事かを僕に語ろうとする.
それを僕が読み取れるかどうかは別として・・.
例えば木立のこの金色の彩りはどうだろう.
一枚,また一枚と命が尽きた一葉が地面に落ちていく.
これは燃え上がる自己犠牲の炎!

二日前,一匹の雌のウスタビガの訪問を受けた.
そっとコナラの落葉の中に戻したら昨夜また玄関先に来ていた.
翅端も欠け落ちて上手く飛べない.
その夜は土砂降りの氷雨が続いた.
翌朝雨宿りのための軒下を見るとじっと何かに耐えている.
掌にくるんで陽光に当ててあげるとしがみついて動こうとしない.
無事相手は見つかったのだろうか.
日当たりの良い場所に置いたらふっと消えていた.

「金色の小鳥のように
暗がりにふるえる炎,
すぐにマッチは
僕の両手の中で燃え尽きるだろう
どうやら,そんな,
僕には永遠に愛しい
青い小さな心が,
その炎に宿っている.
そしてこのゆらめく光のもと,
たとえそれが両手から落ちても
僕はひとつのしるしをたよりに,
まわりのすべてを知るだろう.
・・・・・・・」
アルセーニ・タルコフスキー,”T.O.T.に”より,
坂庭 淳史訳, 鳥影社, p.70?71

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●10月から11月にかけて工房は華やかな色で覆われる.紅葉が
進み,落葉がそこかしこで枯葉の絨毯を敷き詰めるからだ.
しかし,紅葉にしても落葉にしても,来るべき冬に備える植物の
減量作戦の一環で,見かけの華やかさとは別に身を切る厳しい
掟の容赦なさが目立つ時期とも言えそうである.

●一方,庭は総て死の饗宴一色かと言うとそういうわけでもない.
この時期には場違いなほど豪華な花が見られたりする.
新ミヤマリンドウという園芸種がホームセンターで販売されていて,
2年前試みに南斜面に植えてみた.夏の炎天に焼かれて
シャクナゲのいくつかは成長が完全に止まってしまったが,
この親ミヤマリンドウは初年度から青い(スペクトラルブルー?)
花をいっぱいにつけて園芸種とは思えない強靭さを見せ付けてきた.
写真は今年の10月29日撮影のもので,今夏の猛暑はどうやら
たいして応えなかったようである.

●11月に入って急に気温が下がりはじめたが,
サザンカも
例年どうり大輪の花を咲かせた.”大輪の花”というと
サザンカには大げさな形容に思えるが,それぐらいこの園芸種は
見事な咲きっぷりである.これもまた近くのホームセンター
で販売されていたもので,おそらく”朝倉”であろうが外側に残る
わずかな紅色と八重咲きが秋の夕暮れを圧倒して美しい.

●園芸種はそれが由来した野生種に比べてひ弱なイメージが
一般的で有るが,人の手が入った半人工空間である庭では
むしろ場所を得て生き生きと伸びやかな生を楽しんでいるように
見える.この地上で人間活動から完全に独立した無垢の自然
などもはや存在しないが,逆にそれだからこそ人間活動の
影響力というものを生き物の沈黙を理由に考慮しないのも
時代錯誤というものであろう.
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工房本部のログハウスの入口は日暮れになると玄関燈が点灯する.
そのためか灯火を求めて蛾が集り,それを捕らえようと蜘蛛のたぐいも
巣を張るかりそめの生態空間となる.朝になるとその闘いの残骸の
ようなものが観察されて面白い.


この小さな訪問者の中にはムカデや大型の土蜘蛛もいるので油断できないが,
時々目にすることが少ない小動物も訪れて驚かされる時がある.
初夏の来客の白眉にまずオオミズアオ(Actias artemis)を紹介しなくてはならない.
種名にはギリシャ語の artemisが使用されているが,これはギリシャ神話に登場する
狩猟,純潔,月の女神;アルテミスである.Actias の方は何に由来するのか僕の
貧弱な語学力では分からない.写真からしても10cmほどの薄青緑の身体からは
夜の霊気が立ち上ってくるようだ.アルテミスはもともとは古代ギリシャ人固有の
神ではなく,先住民族の異教の神だという.命名にはそういった異教への
興味と怖れをも背景として付けられたのではないかと勘ぐりたくなる.

この来客が有ったのは5月22日であるが,8月18日には再度訪問が有った.もちろん
オオミズアオの寿命は長くても二週間程度,しかもこの間食事も一切とらないでの
生殖活動に特化した強行軍だから,別個体であることはいうまでもない.
しかし僕には,色あせ,翅も破れた姿に初夏のみずみずしい姿が重なり,
最後の別れを告げに訪問してくれたようで胸がつまった.この季節,工房の
周りでは沢山の別れが繰り返される.


今夏の記録的な猛暑は9月に入っても衰えることなく続いたたが,その中で
一匹のアマガエルらしき姿をベランダで見つけた.焼け焦げるような直射日光を
避けようと材木の隙間に逃げ込んだのかもしれないが,そこも安全な温度とは
思えない.急いで水温を確かめホースで冷たい水を撒くと物陰に隠れるのが
確認できた.安全に暑さをやりすごすことが出来たのか心配していたところ,
翌朝の工房入口に何か小さい生き物がへばりついている.どうやらくだんの
アマガエルらしい.玄関燈の付近で蛾を待ち構えて夜通しがんばったのだろうか.
それからしばらくすると消えてしまった.付近にはヘビも多いところなので困った
ことが起こらなければいいのだが.
昨夜の雨で猛暑は一段落したようである.日中は30度を越えるが,湿度が
低く,桜の葉もゆっくりと色づき始めてきた.今年の夏もこれで終わるのだろうか.
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ミニチュア模型の歴史には詳しくないが,子供達の遊び空間としての
ドールハウスは比較的歴史が浅く,19Cのヨーロッパに起源を持つと言う.
家具・調度品を備えた精巧なモデルは現実顔負けの豪華さに驚かされるが,
これに収めることのできる超リアルなミニチュア・フードが作られていることを最近
ブログで知った.
http://lighthouse.blog.so-net.ne.jp/
制作者のサチさんは強烈な努力家で,例えばカキ氷のような難関にも
これでもかとばかりに挑戦してスリリングな製作過程を公開してくれるので,
すっかり閲覧が病みつきになってしまっている.いつか現物を身近に置いて
じっくり鑑賞してみたいと思っていたところ,本年8月の初め,「焼き菓子」の
逸品をセールに出しているのを目にした.チャンスとばかり,おそるおそる
メールで申し込んだところ僕が最初の希望者でOKだという.
売値は何と¥5,000,他のファンの皆様,ごめんなさい!

ちょっと殺風景だった工房のショップを楽しくするために,物語風の役者を
アレンジして撮った写真が添付スナップである.陶製フクロウはどこかの
エスニック・ショップのお土産店で買ったタイ製,黄色い2体のぬいぐるみは
誕生日のプレゼントとして娘からプレゼントされたドイツ製アンチーク,灰色は
ノルシュタインの「霧の中のハリネズミ」である.彼等が固唾を呑んで見守って
いるのがサチさんの焼きお菓子達である.

と言っても細かすぎて細部が見えないかもしれない.何しろ虫眼鏡レベル
の仕上げで,イチゴなどツブツブのへこみまで丹念に作られていて,
思わずイチゴを食べたくなるような迫力なのだ.しかも,不思議なことに
小さいことによってかわいさが何倍にもパワーアップするから面白い.

” 焼き菓子が乗っているテーブルのサイズは4cm×4.5cmです.
今回も12分の1で制作. すべて接着済みです.
ドーム型の焼き菓子には甘酸っぱいベリーのソースがたっぷり^^
生クリームとチョコスプレーとの相性も.
今回初めて作ったヒートプレスで作った蓋つきのマカロン容器.
マカロンはストロベリー・バニラ・チョコの3種類が入ってます^^
ガラスボウルはヒートプレス製.その中に苺が3つ.
ガラスボウルの下に敷いてあるのはリンゴの形のレースペーパー.
ドーム型の焼き菓子をお皿に取り分け,お皿の脇に苺を飾るイメージで♪
うさぎときのこのクッキーは,自分用とプレゼント用にラッピング.
シュガーをまぶしたクッキーは手作りの素朴な味^^*
アンティークなHOVIS風のパウンド型は金属製.
4cmのテーブルにこれでもかとミニチュアを作りました^^ ”
というのがサチさんご自身の紹介で,僕にはこれ以上付け加えることは
無い.工房を訪れる客が少ないのが残念だが,この作品が新しい
客を招いてくれるのではないかと期待している.
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